| 配偶者や子どもなど大切な人を亡くすと、非常に大きなショックを受け、絶望感から、うつ病になってしまうことがあります。今回は、自殺の危険性が迫っているので、入院させるか、速やかに鎮静剤などで落ち着かせなければならなりません。しかし、ケイコさんは「子どもに心配をかけるので入院は嫌だ」と言い張ります。家族とも相談し、家族が目を離さないように注意し、家で服薬しながら様子を見ることにしました。精神安定剤と鎮静系の抗うつ薬を処方し、家族からは毎日状態を報告してもらうことにしました。ケイコさんは3日おきに来院し、心配な時は私からも電話を入れるようにしました。 |
| こうした状態の時には十分時間をかけて、悲しませてあげることが大切です。家族が寄り添って孤独感を取り除き、本人に心の内を吐き出させ、それを共有します。そして、失ったものは戻らないと納得させます。こうした「喪の作業」をへて、ようやく死を冷静に受け止められるようになるのです。 |
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| うつ病の場合、気分転換をさせようと、患者が気が進まないことに誘ったり、「元気を出して」などと叱喀激励するのはよくありません。 |
| ケイコさんは、数週間もすると、薬が効いで落ち着きを取り戻してきました。そして、「自分がもつと注意をしていれば……「いっそ自己破産すればよかった」と、これまで言わないように我慢してきた、つらい心のうちを家族に訴えるようになってきました。家族は同じ内容の訴えにも根気強く耳を傾けました。 |
| やがて、ケイコさんは「自分の周りには、自分を気遣って支えてくれる人がいる。残された子どものためにも前向きに生きなければ」と考えられるようになり、少しずつ元気を取り戻していったのです。 |