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メンタルコラム

第4回

パニック障害

サチコさん(34)は専業主婦で、一見明るく健康そうなお母さんです。1カ月前、入院中の義母の見舞いに行く途中、地下鉄のホームで突然、冷や汗が出て、心臓がばくばくしてきました。吐き気に襲われ、「このままでは死んでしまう」と思い、ホームに座り込んでしまったのです。駅員が救急車を呼んでくれましたが、少し時間がたつと、症状は治まってしまいました。
救急病院の内科で検査を受けましたが、どこも異常はありませんでした。しかし、その後も数回、地下鉄で同じような症状が出て不安になり、精神科を受診しました。

サチコさんは最近増えているパニック障害でした。動悸や、発汗、身震い、息苦しさなどのパニック発作が続き、「また起こるのではないか」と心配になってしまうのです。発生のメカニズムは、脳内の神経伝達物質と関連があるという説が主流になってきています。まじめできちょうめん、完璧主義で、何事にも手抜きができない人がなりやすいといわれていましたが、心理的・身体的ストレスが発作の引き金となることが多く、ストレス社会の現代では性格にはあまり関係なく起こるようです。
心配や不安が高じ、人ごみやオフィス街などに一人で出かけるのが怖くなったり、気分的に落ち込んでうつ状態になったりする場合もあります。
義母が入院し、サチコさんはここ数カ月、身体的にも精神的にも相当ハードな生活をしていたようでした。「病院に行かなければ、とわかっていても、娘に弁当を持たせ、掃除洗濯をきちんと済ませてからでないと出かけられないんです」と話します。
「もっとみんなに甘えようよ。娘さんが中学生なら、ある程度、自分のことは自分でやらせたら」と、少し「手抜き」をするよう勧めました。サチコさんは、抗不安薬を飲みながら、料理や洗濯を娘に手伝ってもらったり、週末は夫に見舞いを替わってもらったりして、少しずつ負担を減らしていった。

発作が起こっても死ぬことはありませんので、安心してほしいと思います。腹式呼吸でゆっくり深呼吸をしたり、「大丈夫、何ともない」と自己暗示をかけたりするほか、あめをなめる、気に入った音楽を聴くなど気を紛らせて対処している人もいます。
やがて義母が退院し、サチコさんの発作も次第に減っていきました。今では発作がうそのように、一人で地下鉄にも乗れるようになりました。

髙橋顧問(前院長)が朝日新聞にて2002年に連載した、女性のこころの健康状態にスポットをあてた「こころ元気ですか~女性編」に一部加筆、修正を加えたものです。
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